店主がマイペースに書く、カレーとインドとその他のこと。


4年前、一軒の宿を目指した。
紅茶農園とスパイスプランテーションが広がる地域の小さな村からまだ山奥へ登り入っていったところに、突然現れる歴史あるバンガローをセンス良くリビルドしたヘリテージホテルに泊まったのが始まりだった。






それから毎回必ず一回の旅の中に(無理やりにでも!?)山の中のバンガローに滞在することにしている。

そして、楽しみはバンガローだけではない。
標高とともに自然の景色や家の作りや人々の生活風景が変わっていくそこまでの道のりも、大きな楽しみのひとつだ。





















 





紅茶畑が広がる山あいの町で飲むチャイはもちろん美味しいんだけど、
紅茶農園を所有する、バンガローで出してくれるミルクティーのほうが、
確実に僕らの理想の味に近い事もよくある。



たまに宿でミルクティーを頼もうとすると、気を使ってくれてか、
「インディアンミルクティーにしましょうか?マサラは入れますか?」などと聞いてくれることもよくあるが、
今までの経験上、紅茶エリアではミルクティーとして飲んだほうがいい。
渋めに入れてもらった紅茶に温かいミルクを少し控えめに入れ、砂糖を少し多めに入れて自分の好きな味を作る。
テラスに座り、目の前に広がる茶畑や自然の山々を眺めながら飲むミルクティーはとても贅沢な時間。

 




バンガローではインド料理かコンチネンタルを選択するケースやあらかじめミックスメニューの場合もある。
もちろんインド料理を食べるのだが、インドでは貴重な焼きたての美味しいクロワッサンやオーブンで焼いたパイなどの料理も風格のある山の上のバンガローにはよく似合う。

イギリス植民地時代の名残を感じながら宿で過ごすのも、僕にとっては特別な時間だから。
 
  

 

タミルのニルギリ丘陵の紅茶が有名な山あいの町、バルパライに向かった。
もこもこと愛らしく、深い緑から薄く綺麗な緑の茶畑が自然のグラデーションをみせてくれる。
ほんのり香る茶葉の青々しい匂いは懐かしくて、わくわくするけど、なぜか落ち着く。

 

なぜこんなに紅茶畑や森や川や湖を見ると、わくわくするのか。。
思い返せば幼少期の体験があった。


静岡の田舎で育った。
毎年、5月にはお茶刈りが始まる。
お茶農家の祖父母の手伝いをしに、所有するお茶畑にいくのが、小学生の時の恒例行事だった。
積んだ茶袋を持ち、トラックの荷台に乗せ、そのまま自分も荷台に茶袋のように積まれお茶工場に行く。
蒸した強いお茶の香りと、工場の機械の匂いが交じったお茶工場がなぜか好きだった。

 

よく一人で川に釣りに行った。
先客がいると気になってしまうから、人のいない場所を探した。
どんどん奥へ、まだだれも糸を垂らしたことがない場所をさがし,
静かな空間でじっくりと釣りしながら、一人の時間をよく味わっていた。
 
 


原風景のある場所へ。

インドをこれからもより深く。

 
 






ポラーチからより奥へ。
ココナッツツリーの森の中へと入っていく。



”オーガニック”
今回の旅でも本当によく聞いた。
宿のオーナー、ホテルのシェフはもちろん、町の生地屋さんやたまたま出会った人からも、、。

そういう理念や意識をもったインドの人々に出会う機会はとても貴重だ。

それは当たり前のように、年々、どこの国でも同じ事が言えるかもしれないが、
僕が見てきたインドはそれがなかなかむつかしい。

実はその逆もあって、
想像以上に農薬まみれの野菜を懸念するインド人にも沢山あってきたからかもしれない。
ある人は、インドではまだ稀なオーガニック食材専門のスーパーでさえ、すべては違うと言っていた。

インドで、いわゆるカレーとして食べる野菜は美味しいのか?と聞かれると、
正直、わかりずらかったのが事実。
スパイスを使うということや、数種の野菜しか生で食べなかったり、、。
後、一番は調理法にある。
僕の今までの体験の中では、インドでは想像以上に野菜を炒めたり、煮込む。
素材は柔らかいのが一般的だし、煮崩れるのもOK。(それが必要なテイストのものもある)
そこにしっかり、スパイス、そしてスパイスや玉ねぎ、トマトなどを炒めて作ったマサラの味が浸みこんでいるから、ダイレクトに野菜自体の味はわかりづらい面もある。
でもこれがインド料理に合う調理だとも思うのも事実。

でも、このエリアで食べる野菜は美味しく感じた。野菜自体の味が見えやすかった。
そしてもちろんピュアベジの方が作る、代々家庭で伝わってきたレシピということもあって、素直で説得力のある味だった。


宿泊したコテージでは、オーナー自らがリーフミールスを作ってくれた。
とにかく驚いたのが、彼はシェフでもその経験もない事。
ただ、料理が好きでいろんなレシピを探りながら趣味で作っていた。
味はもちろん、それぞれのカレーの色の配分と盛り付けのバランス、そして何よりビジュアルがいい。
ピックルなんかも週種類常に作りストックしてあるあたりも面白くて、
グーズベリーなど他にも料理好きの家庭でないと見れない種類のものもあって、とてもいい体験ができた。


 


インドネシアの旅を終え、次はインド。
今回のインドは約2週間という砂の岬にとっては少し短い期間。
南インドのタミルナードゥだけの滞在にし、
その分、より目的を絞ってじっくりと旅をした。


 
ケララとの州境にほど近い田舎町、ポラーチ。

これといっての観光スポットや食べ物に関しても特化したものがないイメージの場所だったため、今まで訪れることはなかったが、見渡す限りの質のいいココナッツツリーと豊かな穀物、そしてのどかな田園風景が印象的だった。

 
外を歩くとMillet(キビ)の穂が体につくほど、フワフワと舞っていた。
ここで食べたキビのパチャディは初体験だった。

 .
Wheat Rava Idly(ラバ・イドゥリ)
通常のイドゥリより酸味はなく、どっしりとした弾力でフェイクミートの感覚。

Elumichai Sandhagai(レモン・サンガーガイ)
米粉から作られた素麺をスパイスで炒めてレモンの味でまとめてある。

Ragi Dosai(ラギ・ドーサ)
シコクビエ粉で作ったドーサ。
通常のドーサが”うどん”だとしたら、こっちは”そば”のような感じ。
そばが好きな僕はもちろん後者のほうが好き。

Millet Pachadi(ミレット・パチャディ)
キビのヨーグルトサラダ。プチプチとした食感が面白い。
インドの普通の食堂ではなかなかお目にかかれない一品。




コングナード・エリアに入るここポラーチ。
それ以外の炒め物やグレイビーものでは、ココナッツとターメリックの使用量が目立つ調理法が印象的だった。
柔らかな色合いのグレイビーのように、マイルドな味わい。





 

Kothamalli sadam(コリアンダー・ライス) 
ショウガのアクセントとコリアンダーリーフとグリンチリの爽やかな”青い”香り。

Beetroot sadam(ビーツ・ライス)
ビーツの持つ野菜の自然な甘味。そして美しビジュアル。


このようにライスバラエティもしっかり美味しかった。
南インド特にタミル、ピュアベジタリアンの食べ物としての一品。
例えば、、
中~高級レストランでは、ポリヤルやクートゥーなどのスターターアイテムと同じタイミングで、バラエティライス(ココナッツライスやトマトライスなど、様々な味付けのライス)をサーブし、そのあとに白いご飯が出てくるパターンだったり。
庶民的な食堂では、食べる時間帯によっては少しのスナックとバラエティライスだけだったり。

ビリヤニやプラオは今では日本でも知られるようになってきたが、
南インドのピュアベジの現場ではバラエティライスも現地で好まれている。




のどかな村にひっそりとたたずむたった4人の従業員の小さなホテル。
料理担当のマナカンダンさんは最後までキッチンから出ることがなかった。
タミル語のみのやり取りでも何も問題ない。
料理している時の彼の姿や表情で、僕と料理で心が通じたのも肌で感じることができたから。


日本で再現することで、彼に恩返しをしたい。

さあ、試作が楽しみになってきた。
 

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