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店主がマイペースに書く、カレーとインドとその他のこと。
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「 南インド・ケララのローカルを味わえるお店を紹介してほしい 」
 
 
  トラベルカルチャー雑誌「TRANSIT」 から、ある依頼がきた。
 

  「美しきもの」を求めて旅するTRANSIT。

   今まで自分が旅してきたインドを、背伸びをせずに伝えたい。

 少しでも多く、心に響く美しきものを残したい、、
 そう思い考えはじめた。
 
  
   
 ただ「美味しい店」や「人気がある店」だったら、
 今までの体験である程度紹介できるだろうが、そんな簡単でいいのだろうか、、
 と、、そんな事を考えたり。。 
 
 いやいや、
 一番の問題は僕がインド料理屋をしていることかもしれない。
 現地にも行ってなくて僕がプロじゃなかったら、
 逆にもっと簡単だったんだろう。
 
 「今」自分がどのように感じるかは、現地に行かないと分からない。
 「食べ物」だけじゃない「お店のすべて」を
 もう一度しっかり味わってから判断したかった。
 
 
 


  


 
 インドは広い。
 約36に分かれた州と連邦直轄領。
 食べる料理や調理法は州によっては僅差な場所もあるが、
 現地で食べれば食べるほど、しっかりとした分布がわかる。

 そこに付け加えて、
 食文化はまず宗教で大きく分かれ、海辺や山間部や砂漠地帯などの自然環境、
 そして、今だ残るカーストや収入の違いなどでも分かれてくる。
 そこが面白い部分でもあるが、
 インドの食を詳しく紹介する事はいつも緊張する。



 今回、自分の好きな雑誌からの依頼もかねて、
 ケララ州に旅のスポットを当ることになった。
 ”勝手に”現地を食べ歩くことに決めたのだ。

 が本音は、
 「お隣のタミルナードゥ州だったらたっぷり情報があったのに、、。」
 であった。
 今まで何度なく好きで訪れた分、
 タミルナードゥ州なら体験してきた沢山のストックがあったのだ。。




 以前、3~4回ほどケララ州を訪れ食べ歩いてはいたが、
 ただ「美味しい店」を探していた旅だった。
 それはそれでいいのだが、自分の今までの情報を並べ見比べてみると、
 宗教や地域性や料理のジャンルが似たものに偏っていた。
 

 短い期間だったが、僕らはケララ州に行った。


 



 ケララの料理を食べる際、
 まずは、かなり大まかに「北部」「中部」「南部」の地域で分け、
 「ヒンドゥー」「ムスリム」「クリスチャン」の宗教でも分ける。

 今回は、
 ケララの美味しい部分である
 シーフードとノンベジにスポットを当てるためもあり、
 「ムスリム」と「クリスチャン」の流れを汲む料理。

 そして、独自の世界観を展開する
 「トディ・ショップ」の料理を紹介することに決めた。
 
 

  

 


 
 トディとは椰子の木の樹液を発酵させた飲み物である。
  
 
 約10年前、僕はコーチンの南部のアレッピーで安食堂を巡り、
 フィッシュミールスを食べ歩いていた。

 たまに目にする「TODDY」の看板。
 そしてなぜか多い茅葺屋根の掘っ立て小屋スタイル。
 入口のカーテンの隙間からでは、薄暗い店内はよく見えない。
 どこか怪しい酒場的な場所だと思い、一人で入りづらかった印象だった。
 
 しかしながら、
 どこでもお昼から現地のおじさんたちが楽しそうに出入りしている光景を
 目にしていたので、僕も一度入ってみた。


 店内は相変わらず薄暗いけど、好きな雰囲気だった。
 そこで初めてトディを飲み、
 一緒にプットゥとエッグカレーを食べたような、、。
 当時、ミールスばっかり食べ歩いていた僕はあまり興味がわかなかったのか、
 頼んだメニューが悪かったのか、、そんな思い出。



  

 
 
 
 
 2年前、コーチンで味わったのは、フィッシュカレーやシジミのカレー。
 美味しかったこともあり、
 今回もう一度、トディショップを味わう事にした。


 今一度、しっかり味わうと、
 "Toddy Shop Cuisine" と言ってもいいほど、
 個性的なメニューがあった。


 フィッシュヘッドカレーやクラブロースト、
 スクイットロースト(イカのマサラ)、
 カッカフライ(貝のスパイス炒め)やビーフやウズラのノンベジまで幅広い。

 蒸して炒めたタピオカや、
 プットゥー(米粉とココナッツで作るホロホロとしたスポンジのようなもの)や
 大粒の赤米を主食に、スパイシーなカレー、
 そしてトディをチビチビ飲みながら食べる。

 会社員や地元のおじいさんなどそれぞれ4~5人グループの男たちが
 チビチビとやっている姿は、日本の老舗の飲み屋のようだ。


 おそらくもともとは、
 トディを飲めるシンプルなBarの付属としての料理が、
 こうして現地の人々からも認知され、
 現在のように一般的にも一つのジャンルとして、
 成り立っているような気がした。
 
 
 
  
 
 
「ローカルなトディ―ショップを教えてほしいんだ!」
 
 コーチンで、一番口にした言葉かもしれない。


 





この後も、食べた記憶、、

続きます・・・
 
 
 
 
 


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